toggle
佐賀県伊万里市のやさしい歯医者さん浦上歯科医院です【公式】ページ

18)歯磨きしたときに歯肉からの出血が多い?

②歯磨きしたとき出血が多いことに悩んで来院される患者さんがしばしばおられます。
「歯石を取ったらなおるって言われたから歯科医院に定期的に行って
クリーニングしてもらっているけど全然変わらない。」、、、、
こう言って来院される患者さんもいます。

あくまで私の意見ですが、結論を言うと、いくらクリーニングしても、
出血が止まらないのは歯肉内部にバイキンが染み込んで、もぐり込んでいるから、
いくら歯石除去やクリーニングをしても出血が減らないんだと思います。

歯科医院で行っている歯石除去は歯の根の部分の表面に
付着しているよごれを除去するものです。

ブラッシングも同じことです。

でも、歯肉の内部に(ちょっと表現がずれているかもしれませんが・・・)いるバイキンは除去できません。

これを除去するには麻酔と抗菌剤が必要だと思います。

バイキンの魂であるバイオフィルムを取り除くという概念なしには、上手くいかないと思います。

バイオフィルムについては以前このページに書きましたが、
もう一度これについて整理してみます。

先に断っておきますがこれはあくまで私の意見です。

バイオフィルムというと一般の方々には聞きなれない言葉だと思いますが
このバイオフィルムとは、いろんな種類のバイキンがお互いに力を
合わせて自分たちの身を守るために、ネバネバした家をつくりその中で
安全に暮らしている状態だと思えばいいです。

身近にあるバイオフィルムを説明するには台所の流しの水切りの
周りのヌルヌルがいろんなレポートによく書かれています。

あの台所のヌルヌルがバイオフィルムです。バイキンの魂です。
バイオフィルムを理解するもう一つの例えはピロリ菌です。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因菌です。

わたしは、中学・高校・大学・社会人になって2回、合計5回十二指腸潰瘍になりました。

私が学生の頃の胃潰瘍などの治療法は酸を中和する薬を飲んだり、
潰瘍の部分を外科手術で除去することだったと思います。
「友人から外科手術をしてもまた再発するよ・・・」と言われました。

ところが今から十数年前くらいに胃潰瘍や十二指腸潰瘍は
胃や十二指腸の中にいるヘルコバクターピロリ菌が原因だ。
ということを唱えてピロリ菌を殺す抗菌薬のみの治療で好結果を出した欧米の二人の学者がいました。

彼らは2種類か3種類の抗菌薬を約30日間服用させることでピロリ菌を除菌し、
胃潰瘍・十二指腸潰瘍を治すことを実証してみせました。

その後彼らはその功績を称えられノーベル賞をもらったと記憶しています。

このことから、バイオフィルムとは、なかなか手強いもので
ピロリ菌の作ったバイオフィルムを壊して除菌するには、
約30日間もの薬を服用することが必要だということがわかります。

まるでたまねぎをむくみたいにバイキンのかたまりを
表面から一層ずつ取り去っていくイメージです。

1日分の抗菌剤で一番表面の一層を取り除き2日目で二層目・・・
そして約30日目で中心部を消してしまう・・・こんなイメージです。

また台所の水切りのヌルヌルを取り除くには金属のブラシや
金属のたわしでゴシゴシ磨けばとれます。

バイキンの住処を壊してしまうわけです。
この二つのことの中に歯周病治療のヒントがあるように私には思えます。
まず歯肉に麻酔してバイオフィルムをこわしてしまい、
次に30日間の抗菌剤の投与を行います。
これでバイキンはかなり減るはずです。

もちろん月に1回くらいのメンテナンスは必要です。
わたしの経験上これがないと健康な歯肉の状態を維持していくのが難しいと思います。

実際にわたしがやる場合はオペの数日前に菌を弱らせておく薬をあらかじめ服用してもらいます。
このやり方は良いとおもいます。実感しています。

FMDは、私もまだ十数人の経験しかありません。

でも今のところそのすべてに好結果が出ています。

ただ、バイキンを目で見ながらやることができないので
オペ中にはっきりとした手ごたえを感じることが出来ず
2,3ヶ月ぐらいしてから歯肉の状態が自他共に良くなっていることを
確認した時に初めて喜べるし、やった意味を感じられるものなのです。

ここにもどかしさを感じます。

FMDは歯肉全体に麻酔をするのでとても痛い治療です。
一本の歯に対して四ヶ所くらい麻酔の針をさしますから
歯の数かける四回チクチクさせるわけです。

この話をすると大抵の患者さんは尻込みします。これが一つのハードル。

もう一つはこのFMDには保険がきかないことです。

治療と薬代で3万円くらいはかかります。

この二つのハードルを乗り越えてFMDを望んでこられた患者さん。

その気持ちに応えてあげなければ・・・大きなプレッシャーがのしかかってきます。
この患者さんの口の悩みを解決してあげなければ・・・

でも、薬の副作用で具合が悪くなったからもう薬を飲みたくないと言われたらどうしよう?
薬なしでは今やっていることの意味はない・・・
今、自分の手の中にあるスケーラーははたして歯周病原菌に届いているのだろうか?
自分は今歯周病原菌に決定的破壊的ダメージを与えているのだろうか?
無駄なパンチを繰り出しているんではなかろうか?
弱気の蟲が頭をもたげてきてそこら中を這いずりまわります。

自分がとても小さくて無知で無力な存在に思えてきます。

弱気の蟲の頭を叩き潰すためにも、この患者さんの大いなる期待に応えるためにも、
渾身の力を込めてオペを行い続けます。
この患者さんと私の良き未来のために渾身の・・・そう渾身の力をふりしぼって・・・オペを続けます。
先々週はオペに3時間半かかり今日は2時間20分かかりました。

くたくたになって「お疲れ様でした。痛かったでしょう。よく頑張ったね。もう終わりだからね。」そう声を掛けます。

笑顔とは裏腹に私の心の中には結果を出せるかどうかという不安が渦巻いています。

「人事を尽くして天命を待つ」
ずうっと昔誰かから聞いた言葉が浮かんできます。

いつもこんな気持ちでやっています。

ホント疲れます。みなさ~ん、歯医者って傍で見るより大変なんですよーーーー!


浅学歯いしゃの役にたつかどうかわからない話